僕の中での最強の必殺技
プロレス Advent Calendar 2015の20日目です。今日は最強の必殺技の話を書こうと思います。
強いプロレスラーへのあこがれは小さいから持っていましたが、けして同じようにはなれないこともわかっていました。体を動かすのが好きでもなかったし、プロレスラーになろうと思ったこともありません。ブラウン管に映っていたのはあくまでも手の届かないスターたちだったのです。
好きになったスターたちは、どんな相手でも一発で倒せる必殺技を持っていました。スタン・ハンセンのウエスタンラリアットなどはその代表格です。馬場さんなら16文キックよりもランニングネックブリーカードロップです。なんと言っても、ジャック・ブリスコを倒してNWAのベルトを取った技だったのです。
個人的に最強のレスラーはジャンボ鶴田で不動なのですが、あのバックドロップは今見ても文句なしの必殺技だと思います。たとえスティーブ・ウイリアムスや川田が危険な角度で投げても、あれは必殺技だとは思えないんです。
きっと僕の考える必殺技は、それを見た瞬間にすべてが終わったと思えるような説得力を持った技でなければならないんです。
書いていると、ここまで全日本プロレスに出ていたレスラーが多いなと思ったわけですが、実は最初に好きになったのは長州力でした。その長州でも猪木を倒すのにリキラリアットが6発も必要でした。これは僕にはとても悲しいことのように思えました。試合は一発で決めてほしいという僕はカウント2.99の攻防というのもあまり好きではありません(四天王プロレスも僕の性には合わなかったんだなぁ)。
さて、既に僕の中の「いわゆる」スターの必殺技は登場しました。でも、もう一つだけ皆さんにお伝えしておきたい必殺技があります。
それは木戸修戦で使われるブラッド・レイガンズのカウンターのサイドスープレックスです。誰も記憶にないかもしれませんが、これが登場すれば、確実に木戸はマットに沈むのです。
緻密なレスリング主体の攻防のあげく、不用意にロープに走った木戸があっという間に回転して、試合はそこで終わります。この終末がカードが発表された瞬間に想像できるのです。レスリングタイツを身に着けたオリンピックレベルのレスラーなら、サイドスープレックスでも相手からピンフォールを取れるのです。ドリー・ファンクJrのサイドスープレックスとはまったく異なるスピード感です。
確実な相手から確実に取ることができるバックグラウンドのしっかりした技。全員倒せなくてもいいんです。
たまたまマリオ・ミラノを失神させてしまった石川敬志のトップロープからのギロチンドロップや、あやうく馳浩を大臣にさせないところだった後藤達俊のバックドロップでもありません。
僕の好きなブラッド・レイガンズのサイドスープレックスは、きっちりと自分の仕事をしていること、そして仕事をしてくれる相手に巡り合ってこその必殺技なのです。
仕事のことを考えるとき、自分の強みは何かということを常に考えていましたが、僕は馬場さんやジャンボ鶴田・アントニオ猪木にはとてもなれそうにありませんでした。でも、自分なりのサイドスープレックスはいつか身に着けれるんじゃないかと思っています。
例え当たっていなくても倒れてくれるのが必殺技だと思いますが、せめて北尾のギロチンドロップよりは正しい方向に走っていきたいと思います。
と、表明してみたものの、自分で戦える年でもなくなってきたので、ジム・コルネットのように、レフェリーの目を盗んで、ラケットで殴り倒すのが一番の気がしてきました。
うん、それがいいかもしれない。